- 店主すー
『Black Lives Matter(黒人の命を軽んじるな)』
先日、
あるお客さんからこんな質問をされました。
「黒人差別について、直接歌ったり抗議したBluesは無いのですか?」と。
長文になりますが m(_ _)m
今回はほうぼう屋で流れる音楽「Blues」の話。
「…私の知る限りのBluesでは、
差別についてストレートに表現された歌はあまりありません。
ただ、スラングや隠喩を用いてメッセージを伝えてるものなら多いと思います。
だって、ストレートに歌いなどすれば、命の保障はありませんから…。」
そうお答えしました。
そんな日の後、
目についたのが写真のポスター。
ランブリン・トーマスというブルーズマンの〝No Job Blues”
1928年に発売された曲です。
「♪新聞を手に求人を探してた
そう 新聞を手に求人を探してたんだ
そしたら警官がやってきて
浮浪罪で逮捕された…」
ここで歌われている「浮浪罪」とは、
「ジム・クロウ法」という当時の人種差別法に基づいた罪のこと。
家も仕事も無く、方々を徘徊する者(HOBO)は刑務所に送られ労役を課されました。
つまりそれは、労働力を確保する目的で黒人を利用した、
「誰かにとって都合の良い法律」だった訳です。
確かに、
「Blues」という音楽の歴史を省みると、この「人種差別問題」を切り離すことは出来ません。
ただ、アフリカン・アメリカンとして生を受けただけで、
捕まったり、売り買いされたり、命を奪われてしまう…。
昔の人々は、
そんな理不尽な現実を歌に託しました。
でもだからと言って
「辛い」「悲しい」「苦しい」だけ歌ってる訳では無いんですね。
憂さ晴らしにしたり、笑い話にしたり、陽気な感じすら伺わせるものがあったりと、色々です♪
世の中には理不尽なことがたくさんあるけれど、
くさったり諦めたりしないで生きていこうよ、って。
だからBluesという音楽には「哀しさ」と「明るさ」が入り混じってるんだろうと、私は感じています。
そして現在、
アメリカで起こっている黒人差別と警官の暴力に始まったデモ活動。
『Black Lives Matter(黒人の命を軽んじるな)』という言葉。
結局まだこの問題は、
Bluesが産まれた時代から今に至るまでずっと続いてしまっているということを、
日本にいながらも改めて思い知らされました。
そんな日本人である私ですが、
ほうぼう屋にいらっしゃる1人でも多くの方に
「Blues」というものをちょっとでも知り、聴いていただき、
それが産まれた人々の歴史や背景も知ってもらえたらいいなと。
そしてそれが、
今の私に出来ることなのだろうと、
思っています。
店主すー