最近のほうぼう屋の悩み
- 店主すー
- 9月4日
- 読了時間: 6分

実はこの頃ほうぼう屋で、
めっちゃ頭を悩ませている事があるんです。
それは
「ワンドリンク制と明言すべきかどうか」という事。
本当はそんな決まり事をつくるのは嫌なのですが、個人経営の小さな店・ほうぼう屋へ色んな価値観や感覚を持つお客様に最近ご来店頂く中、
お店を続けていくためにはせざる得ない事なのかもと…。
一体どういう事なのか、また長文となってしまい恐縮ですが、
よく外食される方には是非読んで頂きたいお話でもあるんです。
実はこの頃ほうぼう屋に限らず、
特に個人経営の居酒屋やダイニングバー、あるいは喫茶店や一部のレストランなどの飲食店全般で、
お酒やソフトドリンクを注文せず、無料で出てくる水と料理だけでご利用されるお客様がめちゃくちゃ増えているということが、話題に上るんです。
実際に同業の方からも同じ悩みを聞きました。
また中には恐ろしい事に、
ドリンクだけでなく料理も何も注文せずに滞在だけして帰られるという方もいらっしゃるんです…。
実はその状況、ちょっと前にもほうぼう屋でありました。
ご来店された2人のお客様のうちの1人の方(私よりおそらく年上)に「ご注文いかがされますか?」と聞くと、
「あ、お構いなく。私これで結構ですから。」と、先にお出しした無料の水を指差された事がありました。
私はただただ唖然…。言葉を失ってしまいました(@_@)
昔から来てくれてるお客さん達は、最近のそんな様子を目の当たりにしながらこう言います。
「ウソだろ〜⁉︎」「…信じられない」と。
しかしこれが令和の今の現実なんです。
けれど思いました。
水だけのお客さんは決して悪意がある訳ではなく、「特にルールで決まっていないから、単にそうしているだけなのだ」という事を。
なので「ワンドリンク必須」と店から明確にお伝えしていない場合、そういった水だけのご利用方法をとるお客さんが増えても、致し方ない事なのかもしれません。
けれどこれはちょっとだけ、
かつて昭和の古い飲兵衛としてお客さん側の1人であった私個人の気持ちなのですが、
「何でもルールで決めたり言葉にしなければ、今の時代はもう伝わらないのかなぁ…」と。
かつて、特に個人経営の居酒屋や喫茶店でドリンクを注文する事は、決してルールで決まっていたわけではなく、「当たり前」と思われてたんじゃないかと思うんです。
それは誰もがお店の状況を察したり、あるいは連れてってくれた先輩が教えてくれたりするような、言わば「常識」とか「暗黙のルール」みたいなものだったんですよね。
けれど一歩引いて考えれば、
そういう当たり前だと思っていた事や常識というのは、国や地域によって大きく違ったり、時代と共に変わっていく事だってありますよね。
例えばBlues発祥地・人種のるつぼアメリカなどでは、多種多様な民族や文化や宗教が入り混じって共存しています。
なので、社会秩序を保ったり、商売を円滑にする為の具体的なルールが、「法律」や「契約書」として徹底して明文化されているという訳です。
だから価値観や感覚の違いの良し悪しを決めつけたりしないで、
先ずは「ほうぼう屋とはどういう店なのか」という事をちゃんと言葉にし、いま改めてお客さんに伝える必要があるだろうと思いました。
そして、「なるほど、そういう体制の店なんだね。」と、理解してもらうことが大事なんだろうと。
さて、
コロナ禍以降ほうぼう屋は「お食事をする場所」としてご利用されるお客さんがもの凄く増えました。ランチだけでなく夜もです。
この頃お酒を飲む方が減った事もあると思いますが、それは料理に力を入れている私にとって素直に嬉しい状況でした。
ましてコロナ禍の頃は、デリバリーやテイクアウトで使ってくれたお客様が沢山いてくれて、本当に有り難かったんです。
けれど本来ほうぼう屋は、
「居酒屋」や「ダイニングバー」と一般的に当てはめられるような、食事だけでなくドリンクにも重点を置いた飲食店で、
それに合った環境や設備を整えている店なんです。
なので、
「まずはドリンクをご注文して頂くのが前提。そして出来ればそれと一緒に料理も楽しんで欲しい。」
というスタイルでこれまで32年やらせて頂いてきました。
もちろん中には飲酒出来ない方もいますので、
特にコロナ禍以降スタッフKが力を入れて、
ソフトドリンクやノンアルコールメニューも用意してくれています。
そしてメニュー全体の価格設定についてですが、
「まずはドリンクをご注文して頂く事が前提」といったスタイルなので、
「フード」は手間暇も原価も掛かる割には「安く」設定している品が多いんです。
そして素早く気軽に楽しんで頂ける「ドリンク」をご注文頂いて、
やっと経営のバランスが取れるというふうに設定させてもらっています。
つまり、「料理ばかりが沢山出ても、ドリンクを注文して頂けなければ、さっぱり利益が上がらず、引いては潰れてしまう、という店」なんです。
…なんだか生々しい話ですみません!
加えて、
「飲食店」とひと口に言っても、本当にいろいろな経営体制のお店がありますよね。
その中でほうぼう屋の場合は
「生活や利益はニの次でやれる趣味の店」ではなく、
「自宅や持ちビルでやっていて家賃がかからない店」でもなく、
「バックに整った会社や大金持ちのスポンサー」がついている訳でもない、
私・店主すーによる一介の小さなの個人経営です。
そしてもっと白状してしまえば、
自分自身は家賃の掛からないマイホーム暮らしでもなく、必死こいて賃貸物件の東京暮らしを何とか続けております。
…まぁ好き好んで選んだ道なので、それについて文句は言えないのですが(^^;;
まずはざっくり、こういうスタイル・経営体制の店だという事を皆様にご理解して頂きたいですm(_ _)m
そんな店で私はこれまで有難いことに、
ドリンクについてお客さんにルールで決めて頼んでもらうのではなく、
何も言わなくても共通の感覚で自然とご注文頂ける状況でやってこれました。
(昭和の飲兵衛の義理人情というか、古い日本の飲み屋の価値観?とでも言うのでしょうか(^_^;) )
けれどもうそんな感覚だけでは通用する時代ではなくなっているんだという事であれば、
「ワンドリンク制」と明確に決めて、お伝えした方が良いのかもしれません。
しかしです!!!
「方々(ほうぼう)から、偏らずにいろんな人に来てほしい」との願いをこめて、
私は32年前にほうぼう屋と名付けました。
つまり言い方を変えれば、この頃のほうぼう屋は一部の同じ考え方を持つ人だけでなく、
色んな世代の色んな考えの色んな国の人が沢山来ているという事なんです!
なので色んな人に来て欲しいと昔から思っていた私にとっては、凄く嬉しい状況。
そしてだからこそ起こった問題なので、前向きに捉えたいとも思っております!
…ここまで、長くなってしまい申し訳ありません。。m(_ _)m
とにかくそのようなお店のこれまでと、ここ最近の営業の悩みなのですが、
もうしばらくだけは私の頑固な一存で(苦笑)、「ワンドリンク制」とは決めずに様子を見て、
よくよく考えさせて頂こうかと思っています。
なんだか小さいような情けないようなお話で大変申し訳ありませんでしたが、
最後に改めてまして、
「そんなほうぼう屋でもいい」と言って頂けるお客様、
どうかこれからも宜しくお願い致しますm(_ _)m
店主すー






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