「非メインストリームに生きよ」 日暮さん、どうぞ安らかに。
- 店主すー
- 2024年6月4日
- 読了時間: 3分

日本人でブルースに興味を持ち、
この方にお世話にならなかった人はいないだろうと思います。
去る5月30日、日暮泰文さんが75歳で旅立たれてしまいました…。
日暮さんと言えば、
Pヴァイン・レコード(ブルース・インターアクションズ)の創始者であり、
雑誌「ブルース&ソウル・レコーズ」、前身の「ブラック・ミュージック・レヴュー」や「ザ・ブルース」そして数多くの書籍をプロデュースされた方です。
ほうぼう屋はそういった雑誌にも何度か取り上げて頂きましたし、
何と言っても店で流してるアルバムはPヴァインのものが圧倒的に多く、
これまで本当に長いことお世話になってきたというわけです。
日本にブルースを広めた方は数多くいらっしゃいますが、
故・中村とうようさんや鈴木啓志さんなどと共に、この方は草分け的存在だったろうと思います。私はこういった方々からこれまで様々な事を教えて頂きました。
その中で、日暮さんからは音楽だけではなく経営者としての生き方も学ばせて頂いたように思います。
実はほうぼう屋(有限会社)を運営する中で
「自分がブルースというマイナーなものを店の柱のひとつにした事が、飲食店の経営的に良かったんだろうか…」と自問自答を続ける日々がありました。
あれは確か17周年を迎えた辺りだったと思います。
そんな頃、
日暮さんが書かれた『のめりこみ音楽起業ー孤高のインディペンデント企業、Pヴァイン創業者のメモワール』(https://amzn.asia/d/h9ICl0s)という自伝本を読み共感する事も多く、
その先ほうぼう屋を続けていく上でとても勇気をもらえた事があったのです。
そこには日暮さんの音楽に対する思いと、大企業では出来ない価値を広めることが出来たという自負が書かれてありました。
日暮さんは学生時代からブルースにのめり込み、
大学卒業後は商社に入社したものの直ぐに辞め「自分の好きな音楽が日本で全然紹介されてない…」という事で、本当にやりたかった事に挑戦!
国内初の専門ミニコミ誌「ザ・ブルース」を発行。
更に海外の音源を日本盤として発売する会社「ブルース・インターアクションズ(Pヴァイン・レコード)」を立ち上げたというわけです。
それが70年代初頭。
まだ日本ではブルースというものがあまり知られていなかった頃なので、かなりの覚悟と苦労や努力があったろうと思います。
私は日暮さんが書かれた自伝を読んでブルースを店の柱のひとつにしている事に改めて誇りを持ち、
これからも次世代の方々へ私なりに伝え、美味しい料理を作ってゆこうと決意しました。
そういう先人達が築き上げてきたものがあるからこそ今があり、
そしてここにほうぼう屋もあるんだろうと思います。
半世紀以上にもおよんで日本にブルースを紹介し続けてきた日暮さん。
本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございます。
どうぞ安らかに。
店主すー
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